静岡市消防局の管轄地域は3市2町に及び、山間地域から沿岸地域まで幅広く、職員数約1,000人という大きな組織であるため、業務の種類や隊編成が多彩です。採用され、消防隊をはじめとした様々な業務を経験する中で、自分の適性とも照らし合わせながら、山岳救助隊や水難救助隊などの専門業務を希望することもできます。
私が消防士を志望した理由の一つは、いつか自分に子どもが出来たとき、父親の仕事を誇りに思ってもらえる、そんな市民の暮らしと安全を守るヒーローのような存在になりたいと思ったからです。実際、今年子どもが生まれましたので、子どもにとってのヒーローでいられるような消防士の姿を追い求めていきたいです。
現在私は消防署で特別救助隊に所属しています。救助隊は、災害現場において真っ先に救助を求めている人のところに向かい、容態の観察や周辺状況を確認し、救出方法の選択、そして人命救助を行います。対応や判断が難しい現場もありますが、要救助者を救い出せたときの充実感は何よりも代えがたいものがあります。そのために、毎日の訓練などの努力ももちろん欠かせません。
一方で、私が所属する職場は私よりも若手の消防士も多く配属されているため、平時は和気あいあいと良い雰囲気の中で仕事を進めています。24時間勤務の交替制という特殊な勤務環境下であるからこそ、隊員同士の中も深まり、仕事のことはもちろんプライベートのことまで、様々な相談もしやすい職場です。
私は昨年、熱海市で発生した土石流災害に緊急消防援助隊として現場に派遣されたことがありました。厳しい現場での活動が続き苦労もありましたが、全国の消防本部から多くの消防士が派遣されており、連帯感を得られた中で、一人でも多くの困っている人を助けたいと強く思った経験でした。
その派遣業務のときも感じたことですが、消防士に必要なのはコミュニケーション力だと思います。災害対応は一人のみの力で出来るものではなく、仲間や様々な隊との連携が欠かせません。こうした場面で必要となるのは、聴く力、話す力ですので、皆さんもぜひこうした点を意識していただくと良いと思います。