私は大学院で児童の発達障害について学んでいたため、児童福祉分野にかかわる仕事に就きたいと考えていました。ちょうどその頃、静岡市の政令指定都市移行(平成17年4月)により児童相談所が新たに開設されることを知ったことをきっかけに静岡市職員になろうと採用試験にチャレンジし、新職員として児童相談所に配属されました。
児童相談所では、虐待ケースをはじめとする夜間の緊急対応、遠方の児童福祉施設への訪問など、苦労した経験が多くありました。加えて、当時まだ子育ての経験がない中で、虐待を理由に一時保護していた幼児を寝かしつけるなど、他の職場ではできない貴重な経験もありました。
現在はこころの健康センター(精神保健福祉法に基づく精神保健福祉センター)に異動し、アルコールなどの依存症当事者やその家族、支援者の方からの相談に対応したり、依存症当事者とのかかわりについて学ぶ家族向け教室、支援者向けスキルアップセミナーの企画・運営などを担当しています。依存症当事者の方が回復に向かう過程に寄り添う中で、関わる方の表情や暮らしの変化を見て取れることがとても嬉しいです。
私は成人の精神保健福祉分野における知識や経験が少ないため、現在の担当業務に戸惑うことも多いですが、とても相談しやすい雰囲気の職場なので、困ったことがあればその都度、医師、精神保健福祉士などの資格を持つ上司・同僚に相談しながら、多くの学びを得ることができています。
市役所で働くことの魅力は、例えば現在の職場では、依存症当事者への支援にとどまらず、その当事者に関わる支援機関同士をつなぐお手伝いができること、また、講演会や研修など、市民の皆さんが必要としている情報を広く普及・啓発ができることだと思います。
仕事を進めるうえでは、他の関係機関との連携が求められます。心理職であっても、行政では様々な分野で働くことになるため、例えば、日頃から何かあったときに相談や情報共有ができる人間関係を作っておいたり、幅広い属性の人と接する機会を設けておいたりすると、自分自身の成長や仕事を円滑に進めることにつながるのではないでしょうか。
※掲載職員の所属・職位は令和4年3月現在のものです。