私の所属する動物病院係の主な業務は、日本平動物園の展示動物と保護された野生傷病鳥獣の健康を管理することです。動物の治療方針や方法などについては飼育員と、動物病院の設備や運営については技術職や事務職など様々な職種の職員と相談しながら仕事に取り組んでいます。
また、臨床業務だけではなく、動物の保護などに関する事務処理や動物の骨格標本の作製・管理も行っています。専門性の高い業務であるため、自分で調べても分からないときは周囲の職員に相談しながら業務にあたっています。
動物の健康管理のため、定期的に採血をして検査を行っています。検査や治療をする時には麻酔を使用することがありますが、ハズバンダリートレーニングと呼ばれる受診動作訓練をしていれば、麻酔を使わずに採血し動物の身体的負荷を軽減することができます。ホッキョクグマの場合、採血は指の間から行うのですが、どの指の間からなら採れるのか分からず、なかなか採血ができず苦戦していました。そこで、過去の採血時の記録などを見返して再度臨んだところ、ホッキョクグマが訓練どおり協力的な体勢をとってくれたこともあり、無事に採血することができました。動物にあまり負担をかけずに検査をやり遂げた時にはやりがいを感じました。
動物は人間と言葉を交わすことはできませんが、好き、嫌いなど正直な態度を示します。そのため、動物になにか処置をする時は、なるべく動物に負担がかからないよう、優しく、手早く処置を行うことができるように心掛けています。また治療や検査の際には、それぞれの動物のことをよく把握している担当飼育員やほかの獣医師と相談して最善な策をとることを意識しています。そのほかにも別の動物園の方と交流する機会があれば、現在治療に困っている症例等についてアドバイスをもらい、帰園後に同じ係の職員と情報共有するなど、より良い獣医療が提供できるよう心掛けています。
私は動物園に所属していますが、先輩獣医師は研究所や保健所などにも配属され、動物愛護や鳥獣対策など様々な分野で活躍しています。静岡市でいろんな経験をしてみませんか?
※掲載職員の所属・職位は令和7年2月現在のものです。