私は現在、清水高度救助隊に所属しており、火災や交通事故等が発生した際、人命救助を行っています。当隊は局内唯一の土砂災害対応部隊であり、土砂災害が発生した際は重機を使用して人命の救助活動にあたります。災害に対応するためには、知識や経験、特殊な資格等が必要になります。そのため、常日頃、アンテナを高くもち向上心をもって業務にあたっています。
私が所属する部隊は、救助隊としての経験が少ない職員が多くいるため、「基本を大切に」をモットーに活動を行っています。新しい知識は一から学ぶ。分からないことは何でも聞く。24時間勤務という特殊な勤務形態であるからこそ、些細なことでも相談し合える風通しの良い職場環境になっています。
消防の仕事の魅力はたくさんありますが、実際に災害現場に出動し、人命救助活動を行う中で、住民の方から感謝されることが一番、消防士になってよかったと感じる瞬間です。
令和4年、静岡市内に大きな被害をもたらした台風第15号で出動した際、土砂崩れにより一般住宅に被害が及びそうな状況で、住宅に土砂が入らないよう必死で活動しました。何とか住宅への被害を食い止め、現場から引き揚げようとした際、住民の方から「本当にありがとう」と涙ながらに感謝されたことを今でも鮮明に憶えています。人の命のために働く消防士の仕事は、大変なことも多い分、それ以上に、誇りとやりがいを感じられる仕事です。
私はこれまで、消防隊、山岳救助隊、陸上救助隊を経験し、たくさんの住民の方の命に接してきました。そうした中で、救うことができなかった命も多くあり、ほかにも何かできたのではないか、これをすれば命を救えたのではないかと考えることが何度もありました。そうした経験から私が一番大切にしていることは、「災害現場から得た教訓を無駄にしない」ということです。現場で行った活動を振り返り、自身や部隊の活動の改善点を話し合うことで、同じような災害が発生した場合に、適確に活動し、一人でも多くの命を救うことができるよう努めています。
消防士は、住民の命を守るという特別な使命を持つ仕事です。何事もあきらめずやり抜く、最後まで責任を持って取り組む。人の命を救うためには、そういった責任感のある姿勢が何より大切です。消防士を目指して頑張る皆さんと、一緒に仕事ができる日を楽しみにしています。
※掲載職員の所属・職位は令和7年2月現在のものです。