児童相談所では、児童虐待の対応や、困難や悩みを抱えるこどもとその家族等への支援を行っています。具体的には、こどもや家族等との面接、心理検査、行動観察を通して、何が虐待や問題の原因になっているか、どうしたらその状況を変えられるのかを考えます。特に虐待対応では、スピード感を求められたり、重大な判断を迫られたりすることがあり、プレッシャーを感じることもあります。しかし、児童相談所では、打合せや会議が頻繁に行われ、それ以外でも周囲に相談しやすい環境です。親身になって助言をしてくれる上司・先輩と、素直で向上心あふれる後輩に囲まれ、刺激をもらいながら日々学びを得ています。
児童相談所で働く心理職の魅力は、こどもやその家族等と直接関わることができる点だと思います。こどもやその家族等が直面してきたつらい経験を聞き、胸が痛むことも多いです。そして、つらい現実は簡単に変わるものではなく、もどかしさを感じることもあります。しかし、そのような方たちの表情が少しでも和らいだ時、家族関係の改善や進学・就職などの喜ばしい報告を聞いた時、そしてなによりこどもの笑顔や成長した姿を見た時、とてもうれしく思います。
私と関わった時間は、こどもやその家族等の人生においてほんの一部に過ぎないかもしれませんが、その方たちにとって少しでも助けになれていればと思います。
私が心掛けていることは、こどもやその家族等が持っている力を信じることです。困難や課題を抱えている方は、今は本来持っている力が発揮されにくい状態かもしれませんが、その方にもきっとこれまでに努力してきたことや乗り越えてきたことがあるはずです。
少し話を聞いただけで行うテンプレートのような助言はあまり役に立ちません。最善の解決策は、こどもやその家族等と一緒に見つけていくものだと思います。私は解決策を見つけていく過程をお手伝いしているに過ぎません。対話を重ねる中でこどもやその家族等から気付かされることは多く、それは学生時代に得た知識以上に大切なものだと感じています。
どんな経験も、その時抱いたどんな気持ちも、相手を理解する時に役立ちます。他者や自分自身に関心を持ち、心の動きをよく見つめながら、たくさんのことを経験して成長の糧にしてください。
※掲載職員の所属・職位は令和7年2月現在のものです。