私が所属する三保松原文化創造センター「みほしるべ」は、世界文化遺産・富士山の構成資産にも登録された名勝「三保松原」の玄関口に位置しており、マツの育成や管理のほか、三保松原に関する企画展やイベントの開催など、松原を保全し、その魅力の発信を担っているガイダンス施設です。私は主に来館された方の対応や施設の維持管理業務を担当しているほか、 三保由来のマツ苗を育てる圃場の管理など松原保全に関する業務も行っています。
職員は7人と少ない所属ですが、受付やミュージアムショップのスタッフ、地域の保全ボランティアの方、観光客など様々な方と話す機会が多い職場です。
企画展では、三保松原が描かれた絵画、地域の植物・生き物など様々な視点から「三保」にフォーカスし、この地域にある多くの魅力に触れてもらえるように工夫しています。企画展の関連イベントも開催するため、どんなことができるか職員同士で相談したり、工作ワークショップの試作品を作ったりなど、所属全体で準備をしています。
ほかにも、施設前の広場で年に数回「プチ松原保全研修」を開催しており、その中でも印象に残っているのは、「マツ枯れ」の原因となる「マツノザイセンチュウ」を媒介する「マツノマダラカミキリ」の生体展示をした時のことです。生体展示を交えてマツへの影響について解説していると、老若男女様々な方が興味をもって観察しながら解説を聞いてくださり、薬剤散布など市が行っている保全業務の必要性を理解していただくことができたと実感しました。
みほしるべは、年中無休の施設のため職員は土日祝日もシフト制で勤務していて、同じ職場なのに勤務日が合わず、相談をしたい職員になかなか会えないことがあります。そのため、出勤日が重なった時にそれまでにあったことを共有したり、先輩職員がそれぞれ普段どのような業務をしているのかを積極的に学ぶようにしたりと、コミュニケーションをとるように心掛けています。
業務に必要な知識は、松原保全のこと、地域のこと、施設に関することなど多岐にわたります。分からないことだらけの日々ですが、一つ一つ真摯に向き合うこと、自分の足と目を使うことを大切にしています。これらは尊敬する先輩方から学んだことですが、学生の頃から意識できていたら違っただろうなと思います。学芸員として専門性を深めることはもちろんですが、物事との向き合い方も大事だと感じています。
※掲載職員の所属・職位は令和7年2月現在のものです。